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2022.08.19

建設業許可

建設業許可の基礎知識

解体工事業者登録

解体工事業者登録の基礎知識

建設業許可を受けても解体工事業者登録が必要な場合

「解体工事」を施工する場合には、請負金額の大小に関わらず解体工事業者登録が必要となります。

しかしながら、そもそも解体工事業者登録が必要な解体工事ってどんな工事??

と、この点をまずは押さえたい方は、以前の記事、解体工事業者登録を必要とする解体工事とはを是非、ご覧ください。

もう一度、おさらいしたい方も上記リンクから一度、復習をされると良いかと思います。

さて、今回のテーマは云わば解体工事業者登録制度の上位にあたる(疑義ありな表現ですが)建設業許可を取得した場合においても、解体工事業者登録を行わなければならないケース

要は、建設業許可と解体工事業者登録の両方を受けている必要があるケースについて、詳細を含めて説明したいと思います。

建設業許可のうち一定の業種(土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれか)にて許可を受けると解体工事業者登録が不要である。

行政書士が監修するサイトを開けば、当たり前のように記されている内容です。

ただ、この重要な内容について詳細を説明をしているサイトは少ないように思います。

間違えやすい内容が多い部分でもありますので、一緒に見ていきましょう。

 

建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)を取得した場合には、解体工事業者登録は不要

まずは基本的な事項。

解体工事業者登録についてを説明しているサイトでは、「建設業許可のうち「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれか許可を有している建設業者については、解体工事業者登録は不要となる」旨の記載がまず目につきます。

この内容のとおり、既に建設業許可のうち「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれかの許可を取得している会社については、解体する工作物の種類の如何に関わらず解体工事業者登録をする必要はありません

また、既に解体工事業者登録を済ませている会社が、建設業許可のうち「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれかの許可を取得した場合には、やはり解体工事業者登録をする必要が無くなり、結果として「建設業許可を受けた旨の通知(建設業許可取得通知)」を提出し、解体工事業者登録を廃止することとなります。

この項においては、上記3業種のいずれかにて建設業許可を受けた場合には、解体工事業者登録の手続は不要となる旨を覚えておきましょう。

 

建設業許可を受けた場合においても解体工事業者登録が必要となるケースを考える

一言に建設業許可と言っても、実は29の許可業種に分かれます。

建設業許可を必要とする会社においては、取得すべき業種を選別し取得することとなりますが、前項にて記載した「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」の3業種に限り、このいずれかの許可を受けることで、解体工事業者登録をする必要が無くなります

逆に、この3業種を除く残りの26業種の全部又は一部を取得しているだけでは、解体工事業者登録を必要とするケースが存在する場合が存在し注意点でもあります。

この注意点を理解するには、建設業許可における解体工事(解体工事業)と、解体工事業者登録における解体工事の内容やその範囲の違いを見極める必要があります。

 

建設業許可における解体工事と解体工事業者登録における解体工事の違い

建設業許可を受けていても解体工事業者登録をしなくてはならない場合を考えるに当たって、理解を深めておくべき内容があります。

これが建設業許可(建設業法)における「解体工事(解体工事業)」と、解体工事業者登録(建設リサイクル法)における「解体工事」の内容や範囲の違いです。

以前の記事、解体工事業者登録を必要とする解体工事とはにて、解体工事業者登録における解体工事については詳細を説明しておりますので、この項では建設業許可における解体工事(解体工事業)を中心に解説したいと思います。

建設業許可には「解体工事業」という許可業種が存在し、この業種に含まれる建設工事の内容について国の告示等にて以下のとおり示されています。

解体工事(解体工事業)・・工作物の解体を行う工事

引用:建設省告示第350号

この「工作物」については通常、それぞれの法令の中でその意味が定義されていることが多いのですが建設業法においては定義がされていないようですので、関連する法令などを参考にその内容を簡潔にまとめれば「住宅などの建物を含む土地に定着させて人工的に材料を加工し又は組み立てるなどを施し製作されたもの」と考えて良いでしょう。

従って、この文面だけを見れば建物のみならず、その他の工作物についての解体工事についても全て「解体工事業」に含まれるように思われます。

しかし、国土交通省より出された建設業許可事務ガイドラインによると、

(23)解体工事
それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。

引用:建設業許可事務ガイドライン(最終改正令和3年12月9日国不建第361号)

とされており、このガイドラインを踏まえて建設業許可における「解体工事(解体工事業)」に含まれる工事の範囲を確認すると、

  1. 建物を取り壊し更地に戻す工事
  2. 専門工事にて建設された工作物を複合的に取り壊す工事

これら2点を、建設業許可における「解体工事(解体工事業)」と定義しているようです。

これに対し、解体工事業者登録における「解体工事」は、住居やアパートなどの建物のみならずフェンスや門扉、カーポート、ガレージ、ブロック塀、櫓、鉄塔など土、木材、コンクリートや石材など様々な材料を用いて建設された工作物全般の撤去解体する工事を含みますから、その範囲が異なることは明白です。

※ 解体工事業者登録における「解体工事」について詳細を確認されたい場合には、以前の記事、解体工事業者登録を必要とする解体工事とはをご覧ください。

 

建設業許可における「解体工事(解体工事業)」に含まれる工事の範囲の詳細

前述した、建設業許可における「解体工事(解体工事業)」に含まれる工事の範囲、

  1. 建物を取り壊し更地に戻す工事
  2. 専門工事にて建設された工作物を複合的に取り壊す工事

について、もう少し具体的にどのような工事を含むのか見てみます。

 

建物を取り壊し更地に戻す工事

ここでは、住宅やアパートなど比較的小規模な建物を解体し更地に戻す工事を指しているようです。上記ガイドラインの後段に記載があるとおり、「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する」とされておりますので、新築建物を建設するために既存建物を取り壊す場合の建物解体工事や、ビルなど総合的な企画等に基づいて解体される大型建物などは建築工事業に該当するものとして考えられます。

 

専門工事にて建設された工作物を複合的に取り壊す工事

上記ガイドライン前段にて「専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する」と記されており、例として「管工事業」に該当する専門工事として建設された工作物を解体する場合には、「管工事業」の工事経歴として振り分けることとなっております。

ガイドラインにおいては「それのみを解体する工事は専門工事に該当する」と言っていますから「それのみではない解体工事」については「複合的に取り壊す工事」と考えられ、2つ以上の工事業(許可業種)に跨る工事をまとめて解体する工事を「解体工事業」に振り分けるとしているようです。

但し、この点については各行政庁により判断が大きく異なっており、くれぐれも管轄する行政庁と相談の上、対応をしてください。

実際に私たちが担当をさせていただいている各県においても判断が異なるケースが生じています。

ガイドラインに示された「それのみ」の範囲が非常に曖昧なことが起因しているのではないでしょうか。

わかりづらいので具体例として、キッチンや浴室の工事を一例に挙げてみます。

キッチンや浴室を建設する工事は、「管工事業」及び「内装仕上工事業」の複合的な工事であることが多く、一般的には内装仕上工事業を管工事業の附帯工事とみて「管工事業」に振り分けることが多いです。(当然ながら、工事内容によっては内装仕上工事業やその他の工事業に振ることもあり)

前述のガイドラインの内容に従えば、「管工事業」と「内装仕上工事業」の複合的な工事と言えますから、これを解体撤去する場合には、「解体工事業」に振り分けると考えるのが自然です。

しかしながら、実際には建設した際に振り分けた「管工事業」に含まれる解体工事として「管工事業」の工事経歴に振り分けるケースが圧倒的に多いものと考えています。

ガイドライン中の「それのみは、1つの専門工事のみという意味なのか、それとも附帯工事を含めた専門工事のみという意味なのか判断が分かれているようですので、実務の上ではくれぐれもご注意ください。

 

建設業許可を受けた場合においても解体工事業者登録が必要となる場合とは

結論までが長くなりましたが、これまでの内容を踏まえ、建設業許可を受けている建設業者にあっても、別に解体工事業者登録を受けるべきケースとは、

  1. 建設業許可のうち土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれの許可業種も取得していない
  2. 軽微な工事(500万円未満の工事)で専門工事に該当する解体工事や撤去工事を請負う

上記2点にいずれも該当する場合には、建設業許可とは別に解体工事業者登録を受けるべきケースと考えます。

①については説明は不要でしょう。

重要なのは②について。

典型例としては、土工工事を主に請負っており「とび・土工工事業」の建設業許可を取得している建設業者では、建築物に該当しない物置、カーポートやフェンスなど専門工事である「とび・土工工事業」単体により構築された工作物の解体は金額の限度なく請負うことができますが、住宅などの建物解体を行う場合には解体工事業者登録を建設業許可とは別に取得している必要があります。尚、この場合の解体工事については軽微な工事、つまりは500万円未満の工事に限定されます。

また、あまりケースとしては少ないものと思いますが、上記の例と同様に土工工事を主に請負っており「とび・土工工事業」の建設業許可を取得している建設業者が、例えば軽微な工事である内装解体(内装仕上工事業)など)の撤去を単体にて請負う場合にも、やはり同様に解体工事業者登録が必要であると考えられます。

 

附帯工事として施工する解体工事については解体工事業者登録は不要

最後に、解体工事業者登録制度においては、解体工事が施工する工事の主たるものではなく、付随して行われる工事であれば登録を求めないとしています。

主たる工事の附帯工事として解体工事を施工する場合には、解体工事業者登録は必須ではありません。

あくまでも解体工事や撤去工事を主たる工事として請負う場合が対象です。

 

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