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2022.08.11

建設業許可

建設業許可の基礎知識

解体工事業者登録

解体工事業者登録の基礎知識

解体工事業者登録を必要とする解体工事とは

解体工事を施工するにあたり必要となる解体工事業者としての登録。

現在、このサイトに訪問をいただいている皆様は、解体工事業者としての開業を控えられている方や、既に解体工事業(建設業)を営んでおられて、自社は登録が必要なのかと悩まれている方などが多いのではないでしょうか。

この解体業者登録制度ですが、「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律(通称:建設リサイクル法)」という法律の第21条に根拠があります。

(解体工事業者の登録)
第二十一条 解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない
引用:e-gov法令検索

この条文だけを読めば、「解体工事をやるには登録する必要があるんだな」とわかるのですが、問題なのは「そもそも解体工事ってどこまでが解体工事なの??」、そして「自社にて請負う工事は解体工事業者登録が必要なの??」ということかと思います。

解体工事業者登録のサポートを行っている行政書士事務所のサイトを開けば、一定の情報は書かれています。しかし、どのような工事を請負う場合に解体工事業者登録が必要となるかといった非常に突っ込んだところまで記載しているサイトはごく少数です。

この要因として、あくまでも推測ですが「解体工事」や、「解体工事業」など法を取り巻く文言の定義が非常に曖昧であり、その解釈が極めて難しいからであると考えます。

確実性が乏しく書きたいけど書きづらいから書かないということが本筋でしょう。間違ったことを書くわけにもいきませんので・・。

しかしながら、私たちはクライアントよりご質問を受ければ、実情を踏まえて回答しなくてはなりません。

そこで、これまでに国土交通省や建設業許可行政を担う行政庁などが公開したガイドラインや回答集、手引きなどを総合的に判断し、弊法人として取りまとめた云わば虎の巻を作成しているのですが、その一部を書いてみたいと思います。

かなり内容が濃く、少々、難しい内容も含みますが、建設業許可制度と解体工事業者登録制度における解体工事の解釈の違いなど間違えの起こりやすい内容も記載しておりますので、正しく理解し、自社に必要なものが許可なのか、登録なのかしっかりとご判断ください。

但し、先にも記載したとおり、明確な答えは行政各庁より示されておらず、最終的な判断は弊法人によるものです。建設業許可行政(解体工事業者登録含む)は都道府県による判断や解釈が異なることも多い内容ですので、不明確な部分は必ず行政庁との折衝を行いましょう。

 

解体工事業者登録はどのような事業活動を行う際に登録が必要となるのか

一言で解体工事と言っても建物の解体や、門扉の解体、カーポートの解体など様々な解体工事がありますが、具体的にはどのような場合に登録が必要となるのでしょうか??

建設リサイクル法に書かれた文言としては、「建築物その他の工作物の全部又は一部を除却するための解体工事を請け負う営業」を行う場合に、登録が必要であると言っています。

ただ、これだけですと何となくわかった程度の理解にしかならないでしょうから、もう少し具体的に書かれている手引きなどの文言を拝借し、「軽微な工事に該当する解体工事を施工する業者」に登録をしなさいと言っています。こちらの方がわかりやすいでしょうか。

一つずつ見ていきます。

まず、ここでいう「軽微な工事」とは、請負金額が500万円に満たない工事(建築一式工事に該当する場合には1500万円未満)を言います。要は、建設業許可を取得せずとも請負える工事の範囲です。そもそも、この金額を超える工事は軽微な工事には該当しませんので、建設業法に規定される建設業許可の取得を検討してください。

この点は、単純に請負金額にて考えれば良い内容ですから、判断がしやすく間違えることも少ないでしょう。

 

そしてもう一つの重要なポイントが「解体工事」とはどのような工事を指すのかということ。

解体工事業者登録を必要とする(建設リサイクル法上の)解体工事とは、建物一棟を解体する工事に加えて、建物の部分的な解体工事、ガレージやフェンスの解体、鉄塔の解体、内装解体(ショッピングモール等のスケルトン工事)など多くの構造物解体を含んでおり、その範囲は非常に広く、建設業法上における解体工事(正確には解体工事業)とは随分と考え方が異なることが特徴です。

これ故に、解体工事の判断が非常に曖昧となり、一見、登録が不要と考えられる建設業者であっても、解体工事業者登録が必要なケースも存在し、その解釈には細心の注意が必要です。

以下、解体工事業者登録を必要とする解体工事について詳しく見ていきましょう。

 

解体工事業者登録を必要とする解体工事とは

解体工事業者登録を必要とする解体工事、要は建設リサイクル法にて定義する「解体工事」について、国土交通省建設業課が公開している「建設リサイクル法・質疑応答集」の中で、以下のとおり記されています。

  1. 建築物のうち、建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分の全部又は一部を取り壊す工事
  2. 建築物以外の工作物の全部又は一部を取り壊す工事

この上記2項目について1つずつ見ていきます。

 

建築物のうち、建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分の全部又は一部を取り壊す工事

この内容を理解するためには、「建築物」と「構造耐力上主要な部分」という重要な文言について押さえなくてはなりません。

まず「建築物」について。

建築物については、建築基準法第2条第1項の規定が準用されています。

★ 建築基準法第2条第1項(「建築物」の定義について)

建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

次に「構造耐力上主要な部分」について。

こちらは、建築基準法施行令第1条第3号の規定が準用されております。

建築基準法施行令第1条第3号(「構造耐力上主要な部分」の定義について)
構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

これらを踏まえ①の項目「建築物のうち、建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分の全部又は一部を取り壊す工事」を考えると、住宅やアパートなどの建物及びこの建物を守るため、飾るために設置されたフェンスや門扉、カーポートなどを合わせて「建築物」と言っており、このうち、基礎や壁、柱など建物の根幹となる構造上、非常に重要となる部分を含んで取り壊す工事を「解体工事」に該当するものとし、そしてこれら工事を施工するためには解体工事業者登録を行わなければならないとしているわけです。

尚、建築物の解体工事のうち、壁のみの取り壊しにて建築物そのものの除去を目的としないものについては解体工事業者登録は不要との例示がされています。

これは、建築物自体は柱などにより支えられており、壁自体が建築物の自重などを支えているものに該当しないといった判断(要は構造耐力上主要な部分に該当しない)であると考えられます。非常にわかりづらい解釈ではありますが、壁自体が自重を支えている構造の建築物の場合(柱などではなく壁(面)にて自重を支えている建築物など)には、構造耐力上主要な部分の解体であると判断されるのではないかと考えています。

補足:一部のサイトにおいては「柱、壁等床面積の概念がないもののみを解体する場合には、床面積をゼロとして考えるため、解体工事業者登録は不要」と記載しているものもあるが、我々としては本件、建設リサイクル法上の届出(解体工事業者が建築指導課等に行う届出)に関する規定であり、解体工事業者登録に関するものではないと判断しております。

 

建築物以外の工作物の全部又は一部を取り壊す工事

次に②に示す「建築物以外の工作物の全部又は一部を取り壊す工事」ですが、こちらも「建築物以外の工作物」について理解をしなくてはなりません。

こちらも、国土交通省建設業課が公開している「建設リサイクル法・質疑応答集」の中に回答という形にて示されております。

★ 質疑応答集Q7 建築物以外の工作物とは何を指すのか?

土木工作物、木材の加工又は取り付けによる工作物、コンクリートによる工作物、石材の加工又は積方による工作物、れんが・コンクリートブロック等による工作物、形鋼・鋼板等の加工又は組み立てによる工作物、機械器具の組み立て等による工作物及びこれらに準ずるものが該当する。

こちらも要約すれば、フェンスや門扉、カーポート、ガレージ、ブロック塀、櫓、鉄塔など数えればきりがありませんが、土、木材、コンクリートや石材など様々な材料を用いて建設された工作物についてを「建築物以外の工作物」としており、これらを取り除く工事を施工する際には解体工事業者登録を行わなければならないとされております。

尚、疑問に思われた方もいらっしゃるかと思いますが、①の項にてフェンスや門扉、カーポートなど同一の内容のものが登場しておりますが、これは建物と付属するものとして考えるか、単体として考えるかの違いです。本件についても質疑応答集の中に回答が載せられておりますので、以下に記載しておきます。

★ 質疑応答集Q8 フェンスやブロック塀は建築物となるのか?

建築物本体に付属するフェンスやブロック塀は建築物となるが、建築物本体に付属していないフェンスやブロック塀は建築物以外の工作物となる。

 

附帯工事として施工する解体工事については解体工事業者登録は不要

解体工事業者登録制度においては、解体工事が施工する工事の主たるものではなく、付随して行われる工事であれば登録を求めないとしています。

フェンスなどの設置工事にて例えれば、通常、これらの解体工事を施工する際には解体工事業者登録を行わなければなりませんが、フェンスを新たなものに切り替える新設工事を請負い、これを施工するために既存のフェンスを撤去解体する場合には、解体工事業者登録を行う必要はありません。

これは請負契約の目的(主たる工事)が新たなフェンスの設置であり、既存フェンスの解体は新たなフェンスを設置するための附帯工事となり、主たる工事が土工工事で、これに附帯する工事が解体工事といった考え方をするためです。

この例に限らず、主たる工事の附帯工事として解体工事を施工する場合には、解体工事業者登録は必須ではありません。

しかしながら、前述の外構設備を施工する建設業者など、過去に設置したフェンスの撤去解体のみを顧客より依頼されればお断りすることも考えにくいでしょうし、解体工事を単独にて施工するケースも可能性としてあるものと思いますから、実務上、解体工事業者登録をしておくことが本質的には望ましいのかもしれません。

 

「建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)」を取得した場合には、解体工事業者登録は不要

最後になりますが、解体工事業者登録の上位に位置する(この表現が正しいかは疑義ありですが)建設業許可のうち「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれか許可を有している建設業者については、改めて解体工事業者登録を行う必要はありません

また、既に解体工事業者登録がされている建設業者が建設業許可のうち「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれか許可を取得した場合には、「建設業許可を受けた旨の通知(建設業許可取得通知)」を提出することになり、解体工事業者登録を廃止することとなります。

これまでの説明のとおり、解体工事業者登録を必要とする「解体工事」には、これらの建設業許可業種に該当しない「解体工事」も含まれますが、これらの3業種のいずれかにて建設業許可を有している場合には「解体工事」の内容に関係なく登録の必要はありません。

但し、くどい内容ですが解体工事業者登録を必要とする(要は建設リサイクル法上の)解体工事と、建設業法上の解体工事(正確には解体工事業)の範囲が異なります。

例えば、ショッピングモールなどの内装解体(スケルトン工事)を請負う場合、軽微な工事であれば解体工事業者登録が必要となる場合が多いです。

そして、建設業許可における「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれかの許可を受けた場合には、解体工事業者登録をせずに内装解体(スケルトン工事)を請負うことが可能です。

ただ、ここに大きな勘違いを生み出すポイントがあります。

この「内装解体(スケルトン工事)」は建設業法上における分類では「解体工事業」ではなく、「内装仕上工事業」です。

注)内装解体はその規模により建設業法上の「内装仕上工事業」又は「解体工事業」に区別している場合があります。行政庁の指示に従ってください。

つまり、500万円以上の内装解体(スケルトン工事)は、建設業許可における解体工事業を取得したのみでは、施工することができません

請負うことができる業種の範囲についてはくれぐれもご注意ください。

 

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