介護タクシー許可申請に当たってまずするべき営業所の法令適合調査。
介護タクシー事業に用いる営業所や休憩仮眠室、車庫など全ての施設は都市計画法や建築基準法、農地法、消防法など各種法令に適合していなくてはなりません。
これらの適合調査においては建物の住所や車庫の住所を基に行うことになりますが、普段、住所として使用しているものをそのまま調査しても法令適合の有無を確認できない場合があります。
それどころか誤った住所にて調査することにより法令に適合していない場所を適合していると誤認し、許可を受けられなかったり、違法操業となってしまったりということが考えられるわけです。
こうなるとせっかくの調査も全く意味がありません。
今回は、法令適合調査などに用いるべき「住所」について解説してみたいと思います。
普段使いの住所と実際の住所が異なるケース
営業所などの建物には必ず底地、要は建物が建っている土地があります。
そしてこれらの土地の全てには、それぞれ番号が付けられておりこれを地番と呼んでいます。
通常、建物の住所は建物が建っている底地の地番がそのまま使用されるため、一般的には「住所=底地の地番」となるわけです。
しかしながら、昔からの集落(主に人口の多い地域の集落)などでは、長い年月をかけて土地を分けたりそこに建物を建てたりとかなり入り組んだ構造になっている地域も珍しくなく、隣地にも関わらず住所の番号が飛んでみたり、同じような番号なのに意外と遠方に存在したりと、生活する上で非常にわかりづらくなってしまっている地域があります。
特にこのような地域、緊急出動(警察や消防車、救急車など)の際や、郵便配達の大きな弊害にもなっていたそうです。
そこで上記のようなわかりづらい地域などを中心に必要と判断された場所に関しては底地の地番による住所表記を取りやめ、見た目上、わかりやすく整理された地番とは別の住所である「住居表示」が実施されたのです。
この結果、「住所=底地の地番」の法則が崩れている地域があり、普段使用している住所と調査すべき住所が異なる場合があるのです。
調査すべき底地の地番を調べる方法
住居表示が実施されている地域の場合、そのままの住所を調査しても意味がありません。
そこで実際の住所、要は底地の地番を知る必要がありますが、慣れていない方にとってこの調査は意外と大変です。
近年では「法務局による地番照会サービス」やネット上での「登記情報提供サービスによる地番検索サービス」など、いくつかのサービスが実施されており以前と比較すると随分とわかりやすくなりましたが、これらにおいて全ては「参考である」旨が付されておりますので、最終的な決定や判断はご自身にて「ブルーマップ」や管轄自治体による「資産税台帳」などを確認し登記情報などとの整合性を取るほかありません。
この作業、文字だけでみると一見簡単そうですが、慣れていない方からするとかなりの重労働です。
それでもこのような作業を繰り返し最終的な法令適合の判断をしなければならないのです。
住居表示実施地域ではないのに住所と地番が異なる場合もある
住居表示が実施されていない地域においては「住所=底地の地番」が大原則です。
しかし住居表示が実施されていないにも関わらず「住所=底地の地番」ではないケースも存在します。
ただ、こちらのケースは稀でありそこまで多くはありません。
比較的、郊外の集落などに多い事象ですが、実際には土地が分割されたり合体したりして変化をしているにも関わらず昔からの住所がそのまま使用されているケースなどが該当します。
例えば、普段使用している住所は「田中町1200番地」だが、実際の地番は「田中町1200番3」だったりするケースです。
また、賃貸借契約書には「鈴木町100番地」と記されているものの調査してみると「鈴木町100番1」や「鈴木町110番5」など複数の土地の集合体であったことも実例としてありました。
これらは大昔に実在した住所をそのまま慣習にて使用しているに過ぎず、介護タクシー許可を受ける上での調査においては実際の地番にて調査をしなくては意味がありません。
住居表示はあくまでも建物の住所であり更地には住居表示は存在しない
これまで建物について住所と実際の住所(地番)が異なることがある旨を解説致しました。
これらは建物、つまりは営業所や休憩仮眠室に関する内容であり、車庫については有蓋車庫(屋根のある車庫)を除いては基本的に関係ありません。