介護タクシーの開業希望者より、タクシーメーターに関するご相談は非常に多い傾向にあります。
タクシーメーターに関する情報はベールに包まれているものも多く、少しでも多くの情報をと私たちのサイトに辿りつかれている方も少なくないようです。
- 金額設定はどのくらいが適切か?
- メーターは設置しなくても良いのか?
- 1台だけメーターを設置したい
- 開業してからメーターを取り付けたい
などその内容は本当に様々です。
そこで今回は、介護タクシーにおけるタクシーメーターについて解説してみます。
尚、今回の記事は関東運輸局管内(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・山梨)のエリアに営業所を構えて介護タクシーを開業される皆様に向けたものです。
その他の地域では異なる場合もありますので、ご注意ください。
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タクシーメーターが必要となる運賃はケア運賃
まず、介護タクシーには大きく分けて3つの運賃設定が可能であり、それぞれ認可制度が取られています。
- ケア運賃
- 介護運賃
- 民間救急運賃
この中でタクシーメーターを使用する可能性が生じる運賃は「1」のケア運賃のみとなります。
その他の運賃についてはタクシーメーターを使用することはありません。
ケア運賃とは
ケア運賃は介護タクシーのベースとなる運賃設定であり、「介護タクシー運賃」と言えば、まずはこのケア運賃を指すことになります。
今回、詳細の解説は省きますが「2」の介護運賃は訪問介護事業所などを運営されている場合、「3」の民間救急運賃は民間救急の認定を受けている場合にそれぞれ設定が可能となる運賃です。
しかし、これらに該当する場合であっても介護運賃や民間救急運賃の認可は絶対ではなく、ケア運賃の認可さえ受けていれば介護タクシーとしての運行の全てにおいて適用することが可能です。
ケア運賃の中でタクシーメーターが必須となる場合
ケア運賃の中身をもう少し細かく見てみると、
- 距離制運賃(メーター運賃)
- 時間制運賃
の2種類の運賃に分かれています。
この中でタクシーメーターを用いて運賃の収受が義務付けられているものは「距離制運賃」のみであり、距離制運賃を設定する場合にはタクシーメーターの設置が必須です。
タクシーメーターが必須となるのはケア運賃の距離制運賃を設定する場合のみ。
タクシーメーターは必ずしも設置が義務ではない
ご存知の無い方も多いようですが、実は介護タクシーにおいては距離制運賃の認可自体が必須ではありません。
30分○○円などの時間制運賃のみでの運賃収受を希望する場合には、距離制運賃の認可を受ける必要がないのです。
そうなると、距離制運賃のみタクシーメーターの使用が義務付けられているわけで、タクシーメーターを使用する機会が無くなります。
従って、時間制運賃のみにて運賃認可を受ける場合には、タクシーメーターの設置は必要ありません。
タクシーメーターを設置していなくても介護タクシー許可を受けることが可能なのです。
タクシーメーターが必須となるのはケア運賃の距離制運賃を設定する場合のみ。
タクシーメーターを設置するには全車両に設置が必要
複数の介護タクシーを登録したいと希望される方からのよくある質問として、以下のようなものがあります。
- 介護タクシーを複数台登録する予定だがメーターを着けるものと着けないものを配置したい
しかし、タクシーメーターを設置する上でのルールとして同一営業所について1台は設置、もう1台は非設置といったような配置方法は認められておりません。
これは配車された車両によって適用可能な運賃を選択する余地が閉ざされてしまうからとの事情なのですが、厳密には営業所毎に義務付けられているのではなく運賃適用エリア毎に義務付けられています。
タクシーメーターはエリア毎に設置が必要
営業所に複数の介護タクシーが登録されている場合を前述しましたが、仮に営業所が複数存在する場合にはどのように適用されるのかも気になるところです。
この場合の考え方としては、それぞれの営業所を管轄する運賃適用エリアにおいて距離制運賃の認可を受けているか否かにて判断することとなります。
従って、営業所が複数存在したとしても、それぞれが他の都県に存在するなど運賃適用エリアが別ということであれば、距離制運賃を受けているエリア内に存在する営業所のみタクシーメーターの設置が必須であり、該当する営業所の全車両にタクシーメーター設置義務が生じることとなります。
距離制運賃を受けた運賃適用エリア内の営業所に所属する介護タクシー全車両にタクシーメーターの設置が必須となる。
タクシーメーターを設置するか悩んだら
タクシーメーターを設置すると購入費用やメンテナンスなどお金や手間がかかることとなり、距離制運賃を収受したいが手間がかかるのであれば見送りたいとの声も多く聞かれます。
実際、タクシーメーターを設置して開業したもののほとんどメーターを使った運行をしておらず、ちょっと勿体ないことをしたとおっしゃられる方もおります。
どのような利用者を想定するかにより、この辺りの判断は随分と変わるものと思いますが、これまでの解説や以下のような内容を参考にして判断されてはいかがでしょうか。
タクシーメーターの大まかな設置費用
最近では介護タクシー専用のタクシーメーターが存在するなど、利便性が高まった反面、種類についてはそこまで多くありません。
いくつかのメーカーが存在しますが新品のメーターであればその購入費用(設定や設置費用込み)として概ね10万円~15万円程度が相場ではないでしょうか。
タクシーメーター自体の費用は一律のようですが、車種により設置方法が異なることから多少の金額差が生じることと、ETCなどの連動要否によっても金額が異なるようです。
タクシーメーターは概ね10万円~15万円程度。同じ営業所にて増車する際にはメーター設置が必須のため同様の費用を要することとなる。
タクシーメーターの装置検査
タクシーメーターは介護タクシー車両に設置し配線等の全てが整った状態にて、その精度の検査を毎年受けなくてはなりません。
検査費用こそ高額ではありませんが、都県によっては計量検定所(メーター検査場)が週に数回しか開かれていない場合や、そもそもの数が少ないため営業所の位置によっては遠方ということもあり得ます。
「計り」であるメーターを設置する以上、装置検査は必須ですので覚えておきましょう。
タクシーメーターは装置検査を毎年受ける必要がある。
メーターの装置検査を受けられるメーカー
タクシーメーターに用いることができるメーターは、計量法に基づく特定計量器の届出がなされているメーカーが販売するもののみとなっております。
インターネットを開けば数多くのメーターが紹介されており、一見すればタクシーメーターとして使えるように見えるものなども多く存在しますが、上記届出がされていないメーカーから購入したものは装置検査を受けることができず、結果としてタクシーメーターとして使用することができません。
あまり安価なものには飛びつかないことが賢明です。
尚、令和4年11月現在において届出済メーカーは17業者あり、そのうち関東地方に営業所が存在するのが7業者となっております。
介護タクシーに使用できるタクシーメーターは特定計量器の届出がなされているメーカーが販売するものに限られる。
許可後にタクシーメーターを新設or廃止する
開業当初は費用や手間などを考えタクシーメーターを設置しなかった方が、後にタクシーメーターを取り付けることができるのか?
また、タクシーメーターを設置している方が管理の削減などを理由に取り外すことができるのか?
これらはどちらも手続を踏むことで全く問題なく可能です。
タクシーメーターを新設する
タクシーメーターを新設したい(距離制運賃の認可を受けたい)営業所を管轄する運賃適用エリアにて運賃認可申請をしましょう。
運賃認可申請は約2ヶ月~3ヶ月の審査を伴うため、早めに検討されることをお勧めします。
また、無事に認可が下りた後にタクシーメーターの発注と設置などが必要となるため、更に2週間程度の日数は見込んでおきましょう。
タクシーメーターを廃止する
タクシーメーターを廃止する場合にもやはり認可申請が必要です。
使用しなくなる運賃ですので審査期間は特段、気にはならないと思いますが新設の場合と同様に約2ヶ月~3ヶ月程度を要します。
廃止の認可が下りましたら速やかにタクシーメーターを撤去しておきましょう。
タクシーメーターの手配もおまかせください
意外と奥深いタクシーメーターについて、いかがでしたでしょうか。
介護タクシーに使用可能なメーターを取り扱うメーカーやその営業所は非常に少なく、タクシー業界におられた方でもない限りメーター店とお知り合いの方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
私たちの開業サポートにおいてはしっかりとした対応をしていただける販売店をご紹介しております。
毎年の装置検査など長い付き合いとなるメーター店ですからいい加減な対応をする店舗とはお付き合いしたくないものです。
タクシーメーターの手配もおまかせください。