個人事業として介護タクシーを開業された後に事業規模の拡大とともに法人化をする場合には、介護タクシー許可を何らかの方法にて法人として取得しなくては営業を開始することはできません。
従って、法人として許可を受けるための策を速やかに講ずる必要がありますが、考えられる方法としていくつかのパターンがあり、ケースバイケースにてどのような方法を用いるのか判断をしなくてはなりません。
そこで今回は、個人事業からの法人化(法人なり)に伴い生じる介護タクシー許可の手続の中でも、あえて新規許可を受けて事業譲渡を成立させる方法を中心に解説してみたいと思います。
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介護タクシーを個人事業から法人化するための方法は主に2つ
前回の記事、介護タクシーを法人化~譲渡譲受認可~において紹介をしておりますが、個人事業者が法人化する際における介護タクシー許可上の手続は大きく分けて2種類存在します。
- 新たに新規許可を受けて後に設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等を譲渡する
- 事業譲渡契約を締結し個人から法人への譲渡譲受認可を受ける
「2」は個人と法人の間にて事業譲渡に関する契約を締結し、これを根拠に法人として許可を受ける方法です。
個人事業からの法人化の場合、「2」の事業譲渡認可(譲渡譲受認可)を利用することが一般的であり、私たちもこの方法を推奨しております。
しかし、一定の条件を満たす場合や特段の事情に応じて「1」のとおり、事業譲渡を受ける法人にて新規許可を取得し、後に設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等の譲渡を受ける方法もあります。
今回の記事では主に「1」の方法について解説を進めていきます。
個人事業として使用した設備を引き継がないのであれば新規許可が◎
詳細については後述しますが、個人事業からの法人化の場合には、その設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)を引き継ぐことが一般的であるため、今回、紹介している新規許可を受けての事業譲渡よりも前回の記事、介護タクシーを法人化~譲渡譲受認可~において解説した譲渡譲受認可を受けての事業譲渡の方が適切な場合が多いです。
しかし、法人化した後においては個人事業者として用いていた設備を全く使用しない、または一部の設備しか使用しない場合には新規許可による事業譲渡の方が大きく手間が省ける可能性があるためおすすめできます。
- 個人事業として用いていたものをそのまま引き継ぐ→譲渡譲受認可申請
- 法人として新たな設備を用意する→新規許可申請
といった考え方で新規許可を選択するか、譲渡譲受認可を選択するのかを判断されることで良いのではないかと考えております。
個人からの法人化においては一般的に譲渡譲受認可申請を利用する。但し、新規許可申請の方が手間が省けたりリスク回避ができる場合もある。
新規許可を受けて個人から法人化するための大まかな流れ
個人事業を引き継ぐ法人について新規許可を受けて手続を進めていく際の大まかなステップは以下のとおりです。
尚、今回は個人事業を営む介護タクシー事業者からの法人化を新規許可を受けて完了させることを前提とし解説しています。
- 法人として介護タクシー許可を受ける
- 事業に用いる設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等について譲渡や売買を行うことについての決議
- 個人事業及び法人間における設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等について譲渡や売買を行うことについての契約の締結
- 契約締結後の速やかな所有権移転や使用権原移転
これらは個人事業からの法人化において一般的に必要とされる内容ですが、実はそのタイミングが異なるだけで、譲渡譲受認可申請の際と行うべきことは大きくは変わりません。
従って、個人事業者の法人化については譲渡譲受認可申請を利用することが一般的ではありますので、この点も抑えておきましょう。
尚、前述もしているとおり、法人化は進めるが個人事業にて用いていた設備を使用せず、新たに設備を準備する場合には「2」から「4」は不要となり、実質的には新規許可を受けることのみで完了します。
法人として介護タクシー許可を受ける
新規許可を受けた上で事業譲渡を完成させる場合には、個人事業から法人に対する事業譲渡の決議や契約のタイミングは必ずしも許可申請前であることは求められません。
従って、まずは許可を受けライセンスの上で、介護タクシー事業を運営できる状態にしておく必要があります。
許可申請の準備を整え、まずは許可取得を目指しましょう。
まずは急ぎにて新規許可を取得!これが全ての始まりです。
事業に用いる設備等について譲渡や売買を行うことについての決議
事業に用いる設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等を引き継ぐこととなる法人において、個人事業者よりこれらの設備等を譲渡や売買を伴って引き継ぐ際には法人としての決議が必須です。
具体的には株式会社を例とすれば、株主総会を実施しこれを諮(はか)り、決議を取らなければなりません。
これが決定することにより次のステップへと進めることができるようになりますし、今後、法人へと所有権や使用権原を移転する際の根拠として資料を求められることとなりますので第三者に証明ができるようしっかりと記録を残しておきましょう。
法人は事業運営の方向性を定める決議が必要となるため記録はしっかりと残しておこう。
個人事業及び法人間における設備等について譲渡や売買を行うことについての契約の締結
引き継ぐこととなる設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等についてその範囲を明確にした譲渡契約や売買契約を取り交わし、必ず契約書を作成しておきましょう。
法人としての決議と同様に今後、法人へと所有権や使用権原を移転する際の根拠資料としてや、経理や税務処理の上でも必要となりますので、詳細を明確に記載した契約書を作成しておかなければなりません。
契約の事実を証明する契約書の作成は必須。実務上においても必要となるため契約が締結されたら速やかに作成しておこう。
契約締結後の速やかな所有権移転や使用権原移転
法人としての決議や契約の締結が完了したら、個人事業より引き継いで使用する設備(営業所や車両など事業運営に使用している環境の全て)等について、所有権や使用権原の移転を行いましょう。
これらを完了することで、法人としての運輸開始が可能となります。
尚、介護タクシー許可の最後の手続である「運輸開始届」についても忘れずに手続を行いましょう。
所有権や使用権原の移転を行い運輸開始を目指そう。運輸開始届も忘れずに提出。
新規許可or譲渡譲受認可のどちらの手続かに迷ったら
今回は事業を引き継ぐ法人が新規許可を受けて事業譲渡を完成させる方法について解説しました。
しかし、一般的な個人事業からの法人化に関しては実務上、譲渡譲受認可を用いることが多いように感じていますし、私たちとしてはこちらが望ましいと考えております。
この辺りはご自身若しくは専門家を交え、ケースバイケースにて相応しい手続を判断していただくことが良いでしょう。
但し、どうしてもその判断に迷ってしまうのであれば、今回解説した新規許可による事業譲渡を選択された方がリスクは少ないかもしれません。
譲渡譲受認可の場合には事前の段取りが多く作成する文書の難易度も高い傾向にあります。
近年では手続の性質が少しずつ変わってきており、譲渡譲受認可のメリット(要は新規許可のデメリット)は少なくなりつつありますから、段取りや書類作成の難易度を天秤にかけた時に、新規許可による事業譲渡を選択した方がリスクは低くなるでしょうし、手続に不慣れな方が進める場合には特にこちらがベターかと思います。
尚、新規許可申請は登録免許税30,000円が課税されるのに対し、譲渡譲受認可においては登録免許税は課税されませんので、これを決定打として譲渡譲受認可に踏み切る方もいらっしゃいます。
いずれにせよ私たちにお任せいただけるのであれば、登録免許税のかからない譲渡譲受認可にて対応をさせていただくことになろうかと思います。
あまり大きな差ではないかもしれませんが、参考にしてみてください。