介護タクシーの運行を開始すると、病院間の移送業務に従事する機会があるかと思います。
入院や退院、転院などが主な理由となりますが、利用者の方の状態によっては医療機関より医療用酸素ボンベの準備や積載を促されることがあると聞きます。
利用者獲得のためにはニーズに応えたいと考えると思いますが、実はこれがどの介護タクシー事業者でも対応できるものではありません。
そこで今回は、介護タクシーに医療用酸素ボンベを積載する条件などについて解説します。
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医療用酸素ボンベを介護タクシーに積んでおくためには
解説を始める前に少しだけ医療用酸素ボンベと介護タクシーに関する歴史について触れておきます。
介護タクシーの許可制度が開始された頃は医療用酸素ボンベを積みことについて特段の規制はありませんでした。
しかし平成18年に薬事法という法律が改正され、介護タクシーには積むことができなくなります。
正確には医療用酸素ボンベを販売している事業者に対して介護タクシー事業者への販売が事実上、禁止されたのです。
これによりしばらくの期間、介護タクシー事業者が独自にて医療用酸素ボンベを購入し介護タクシーに積んで準備をしておくことができませんでしたが、平成24年頃販売先に関する通達(事務連絡)が国より発せられ、一定の条件をクリアする介護タクシー事業者には販売が可能となったのです。
医療用酸素ボンベを購入することができる介護タクシー事業者
具体的に医療用酸素ボンベを購入することができる介護タクシー事業者とはどのような事業者なのか?
平成24年に発せられた厚生労働省よりの事務連絡の内容を見てみると、
- 卸売販売業者が医薬品を販売等する場合において、(中略)別記「事例40」の場合については、その販売等の相手方として認められる事例であること。ただし、具体的には、個別事例ごとに判断されるべきものであること。
- 事例40:医療従事者(医師又は看護師)が患者等搬送用自動車に同乗できる体制を整備している患者等搬送事業者に対し、搬送中の医療行為に必要な医療用酸素を販売する場合
この「事例40」を根拠に介護タクシー事業者に対する医療用酸素ボンベの販売を再開しておりますが、事務連絡の後段「具体的には個別事例ごとに判断されるべきもの」との記載があることから販売事業者毎に独自のルールを設け、これに適合した介護タクシー事業者のみに対し販売を解禁しているようです。
尚、前述の「事例40」に記載されている文言をもう少しかみ砕いて考えると、
- 医療従事者(医師又は看護師)が患者等搬送用自動車に同乗できる体制を整備している
- 患者等搬送事業者
と大きく2つの要件が書かれていることがわかります。
この2つの要件について各販売事業者毎に独自の解釈をし、また独自のルールを設定し各々判断しているようです。
従って、販売事業者によりその考え方や証拠として求める書類、販売可否の判断が異なるようですから、具体的な購入の際には必ず事前の問い合わせが必要です。
医療従事者(医師又は看護師)が患者等搬送用自動車に同乗できる体制を整備しているとは
医療従事者については具体的にカッコ書きされているため医師、看護師(准看護師を含む)と考えて差し支えないでしょう。
問題なのは後段の「同乗できる体制を整備」をどのように解釈するかです。
いくつかの販売事業者を確認しましたが、概ね以下のいずれかに該当する場合にこの要件を満たすものとして考えているようです。
- 特定の医療機関との協定書や契約書、同意書などにより医師や看護師が同乗できる体制が構築されている
- 介護タクシー事業者に医師や看護師が常時勤務しておりいつでも同乗できる体制が整っている
特定の医療機関との協定書や契約書、同意書などにより医師や看護師が同乗できる体制が構築されている
医療用酸素ボンベの使用が必須となる患者等の転院などの業務に従事する場合、転院元又は転院先の医療機関の医療従事者が同乗することを約した協定書や契約書などを取り交わすことでこの要件を満たすと考える販売事業者が多いようです。
しかし、このようなケースの場合には転院元又は転院先の医療機関より医療用酸素ボンベの提供を受けることが通常であり、国もこれを推奨しています。
従って、協定書や契約書を取り交わし介護タクシー事業者が購入するというケースは少ないのかもしれません。
介護タクシー事業者に医師や看護師が常時勤務しておりいつでも同乗できる体制が整っている
こちらは介護タクシー事業者自体に医師や看護師が常駐している場合です。
経営者自体が該当する場合もそうですし、直接的な雇用関係にある場合にも該当するでしょう。
この場合においては搬送中の急な容態変化にも対応ができるよう常時、医療用酸素ボンベを介護タクシーに積んでおくため介護タクシー事業者が購入するということも大いに想定されます。
患者等搬送事業者とは
医療用酸素ボンベの購入が可能となるためのもう一つの要件である「患者等搬送事業者」について。
介護タクシー許可を受けている運送事業者であることは必須ですが「患者等搬送事業者」として認められるケースとして主に2通りの考え方があるようです。
- 患者等を移送することが可能な車両を有した介護タクシー事業者
- 消防署より認定を受けた民間救急事業者
要はいずれも患者等を搬送するための設備(自動車)を有していることは変わりませんが、介護タクシー許可を受けているだけでも販売対象としているのか、民間救急事業者として認定を受けていなければならないのかの差です。
患者等を移送することが可能な車両を有した介護タクシー事業者
患者等移送車(車いす移動車で寝台車として使用できる車両を含む)を有した介護タクシー事業者であれば販売対象としているケースもあるようです。
しかし、次に説明する民間救急事業者と比較すると介護タクシー許可を受けているだけで販売対象としているケースは少ないようですので、販売業者に確認されることをお勧めします。
消防署より認定を受けた民間救急事業者
近年では救急車の慢性的な不足の影響もあってか積極的に民間救急の認定を出している消防署が多くなっています。
これには当然、一定の要件が設けられており認められた資格保有者や講習の修了者が必ず配置されており、かつ、AEDなど消防署毎に必要とされる備品の設置が義務付けられています。
これ故、民間救急事業者としての認定を受けた介護タクシー事業者こそが販売対象としてふさわしいと判断されているケースが多くなっているようです。
看護師の常勤と民間救急認定が医療用酸素ボンベ常備のカギ
ここまで介護タクシー事業者が医療用酸素ボンベを購入し車載することについて解説しましたが、総合的にまとめれば看護師が常勤しており、かつ管轄消防署より民間救急の認定を受けた介護タクシー事業者であることが理想的であると考えます。
また、これを満たし医療用酸素ボンベの常備が叶った際には、これを必要とする医療機関等からの搬送依頼も増えることとなり、ビジネスとしての間口も広がることとなります。
要件を満たせる介護タクシー事業者の方々においては常備を検討してみるのも良いかもしれません。