直近、円安や世界情勢、感染症の流行などが相次いでおりマイホーム建築も若干停滞気味と聞きますがそれでも超低金利の破壊力は抜群であり、マイホームの新築を始めとする住宅の建設や販売がここ十数年は順調に推移してきたようです。
施工を請け負う建築会社としても金融機関が金利を抑えてくれることで、施工を請け負う機会の増加には繋がっているのではないでしょうか。
しかし、過去においては地元の大工さんや知り合いの工務店などにマイホームをお願いすることが当たり前の時代があったようですが、近年の傾向としてはそうではありません。
とにかくはまずネットで検索し施工金額はもちろんですが、施工会社の実績やデザイン、会社のカラーやスタッフの人となりまでホームページなどから情報を得る時代となりました。
そして何より建設業許可を受けているのか否かなど、かなりマニアックな情報までを確認する施主も増えているようです。
そこで今回は、建設業者のみならずマイホームを注文する側である施主側の目線も含めて、建設業許可における閲覧制度を解説してみます。
マイホーム建築は人生における一番大きな買い物!いい加減な建設会社には任せたくない
一般消費者である施主様において夢のマイホームは恐らく一生に一度の大きな買い物です。
だからこそわがままを聞いてくれて、こだわりを隅々まで丁寧に施工してくださる、実績豊富な職人さんが居て、そしてお値段もそこそこの建設会社にお願いしたいと考えているはずです。
自分の終の棲家となるマイホームを失敗しても仕方ないなどと考えている施主はまずいないでしょう。
しかし、テレビなどでも特集が組まれますが、極めていい加減な施工や手抜き工事などを堂々としてしまう建設会社があるのも事実。
そこで施工会社に関する調査ツールの一つとして使用されているのが、建設業許可における閲覧制度です。
建設業許可を受けた建設会社はその情報が公開されている
意外と建設業許可を受けている会社の方でもご存じない方が多い、建設業許可の閲覧制度。
一定の個人情報などは公開されませんが、会社の決算状況や施工した工事の内容や件数、請負金額などは全て公開されています。
そしてこの公開情報は一般消費者はもちろんのこと、施工状況を知られたくないライバル会社、ダイレクトメールなどが鬱陶しい広告会社などそれこそ善意、悪意に関係なく誰でも見ることができる制度です。(さすがに犯罪などに用いることが目的の場合はNGでしょうが。)
最近の施主は建設業許可の閲覧もお手のもの
夢のマイホームを依頼するに当たり、しっかりとした実績を持ち合わせている会社であるか否かの情報は施主にとっては非常に重要ですが、施工会社に出向いてこれらの情報を開示してもらうのは簡単なことではありません。
そこで、建設業許可の閲覧制度を利用することで、どのような規模の工事を、どの程度請け負っているのかを確認しているのです。
このほかにも建設業許可を受けてからどの程度経過している会社なのかや、どのような資格者が在籍しているのかなど知りたい情報は概ね確認できます。
工事実績が豊富な会社は良き宣伝材料になる
情報が公開されているとなると、なんとなく委縮してしまいがちですが建設業者にとっては良き宣伝材料となる場合も大いにあります。
どんなに誇大な広告を打っていたとしてもその真偽は施主にはわかりませんから、簡単には信用を得ることはできないでしょう。
このため、あの手この手で実績を多く公開し、沢山の施主の方より契約を貰えるよう宣伝、営業しているわけです。
その点、この閲覧制度は行政に対して真実を報告した証でもありますから、一般消費者にとってはこの上ない情報であり施工会社にとっては大きな宣伝材料です。
建設業許可を受けている場合、毎年、決算変更届という書面を提出することが義務付けられており、当然にこの書面も閲覧対象です。
この書面には実際に請け負った工事をリスト化し記載する内容が含めれますが、一定のルールの元、ピックアップされた工事のみを記載しますので実際に請け負った工事の一部しか記載しません。
しかし、このピックアップについて多く記載されている分には指摘を受けませんので、実績が豊富な施工会社においてはこの決算変更届に実際に施工した工事の多くをさらけ出し、他社と差をつけるのも面白い手法と考えます。
施工会社にとってみれば良いアピールの場であり、施主からすれば施工会社の情報を得るための大きなツールとなっているのです。
建設業許可を持っていないことで施工業者の候補から外れるか
そもそも一般住宅を施工する建築工事業者の場合、総額にて1,500万円未満の工事や延べ床面積が150平米未満の木造住宅のみを請負うのであれば建設業許可は必須ではありません。
これ故、昔ながらの大工さんや工務店においては木造建築の施工経験が極めて豊富であるにも関わらず建設業許可を受けていないケースも目立ちます。
こうなると施工実績が乏しい施工会社はあえて建設業許可を受けず、工事実績をさらけ出さないという選択肢を取ってしまいそうですが、これは良く考えましょう。
冒頭の説明のとおり、近年ではマイホームは地元の大工さんにといった時代は既に終わっており、情報化社会が進む昨今においては閲覧による実績ウンヌンの前に建設業許可を受けていない時点で一般消費者からは敬遠されてしまうこともあることでしょう。
寂しい気もしますが、昔のような横の繋がりだけで仕事を請ける時代でもなくなりつつあることを考えると、施工会社として施主の考えを一歩先回りできる体制を構築し、取り巻く環境を強みに変えられるよう成長したいものです。