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2023.01.04

株式会社設立の基礎知識

株式会社設立

資本金を入金した通帳のコピーを取る方法

株式会社を設立する際には資本金の全額が確実に出資されたことを証明するために、資本金相当額が入金された通帳のコピーを取り、払い込み証明書に添付した上で管轄する法務局に提出しなくてはなりません。

単にコピーを取るだけと言えばそれまでですが、入金のタイミングやコピーの取り方など少しだけ注意すべき点があり、誤りや質問が意外と多い事項でもあります。

そこで今回は、株式会社を設立する際に必要となる資本金を入金した通帳のコピーの取り方について解説します。

尚、株式会社においては現物出資という方法があり、現物出資により資本金を設定することも可能ではありますが、今回は極めて一般的な資本確保の方法である現金による出資の場合を想定して解説しております。

 

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資本金を入金した通帳のコピーを取る際の注意点は2つ

資本金を入金した通帳のコピーを取るだけであれば非常に簡単な作業です。

しかし、滞りなく手続を完遂するためにはいくつかの注意点を意識し、確実にコピーを取らなくてはなりません。

  1. 定款が作成された日以降に資本金の全額を入金する
  2. 発起人名義の口座に入金する

これらの2点は確実に抑えるべき注意点です。

再提出などを求められることで処理期間が伸長してしまいますから、後述する解説を参考にしていただき確実にコピーを取得しましょう。

 

定款が作成された日以降に資本金の全額を入金する

発起人(株主)の情報や出資される資本金の額面に関する情報は設立時の定款に記述します。

このため、決定した資本金の全額について定款が作成された日以降に発起人の通帳に入金する必要があります。

この「定款が作成された日以降」という点が非常に重要なポイントです。

 

既に存在する残高は「定款が作成された日以降」には該当しない

極めて勘違いの多い事項です。

資本金を入金する通帳に既に潤沢な残高がある場合、これを単にコピーされる方がおりますが、これでは資本金が出資された証明とはなりません

くどいようですがあくまでも「定款が作成された日以降」に出資金が入金されたことを証明しなくてはなりませんので、既に残高が資本金の全額を上回っている場合においても改めて入金する必要があり、資本金の全額が入金された履歴を残さなくてはなりません。

従って、既に残高が存在する場合でも、

  • 一度、預金を引出して改めて入金をし履歴を残す
  • 他の口座から振込や振替などの方法を用いて入金をし履歴を残す

などの方法を活用し、定款作成日以降に入金された履歴を作成した上でコピーを取りましょう。

ポイント

定款作成日以降に資本金の全額を入金する。既に残高がある場合でも一度、引出して再度入金するなど定款作成日以降に入金された履歴を残そう!

 

発起人名義の口座に入金する

資本金を入金しコピーを取るべき通帳は発起人の通帳です。

発起人が個人の方であれば個人の通帳、株式会社などの法人が出資する場合にはその法人の通帳に資本金の全額を入金しコピーを取ります。

オーナー社長のケース、つまりは代表取締役となる方が自身にて出資し株式会社を立ち上げる場合などにおいては問題となりませんが、出資者と役員(取締役)が異なる場合には、取締役ではなく出資者の通帳に入金する必要がありますので注意しましょう。

これも意外と多い、誤った準備をしてしまうケースです。

 

発起人が複数の場合にはいずれか1名の口座に全額を入金する

発起人が1名の場合にはその方の口座に入金することで問題ありませんが、複数の発起人が存在する場合には代表の発起人を決めてその方の口座に出資金の全額を入金しましょう。

この代表の発起人は任意で決めて問題ありません。

出資額の大小など一切関係ありませんので、発起人のうちのどなたか1名の口座に資本金の全額を入金しコピーを取りましょう。

ポイント

取締役ではなく発起人名義の口座に資本金の全額を入金する点に注意。発起人が複数存在する場合には適当に代表となる発起人を決めてその通帳に入金しよう!

 

合算でも別々に入金してもOK

複数の発起人が存在する場合には代表となる発起人名義の口座に入金することは前述のとおりですが、最初から全額をまとめて入金しても良いですし、それぞれの発起人から別々に入金しても構いません。

定款作成日以降に出資金の全額が間違えなく入金された事実があれば、手続の上で問題となることはありません。

ポイント

通帳に入金する際には全額をまとめてもそれぞれが個別に入金しても定款作成後に資本金の全額が入金されていれば問題ない。

 

資本金を入金した通帳のコピーすべきページ

ルールに則って資本金の全額を入金したら通帳のコピーを取りますが、具体的にはどの部分のコピーが必要なのでしょうか??

一般的にコピーを取るべきページとしては、

  1. 通帳を閉じた状態にて表紙をコピー
  2. 通帳を一枚めくって口座番号や口座名義人が書かれたページを見開きにてコピー
  3. 資本金の全額を入金したことがわかるページを見開きにてコピー

これらの3点を抑えておけば問題ないでしょう。

「1」の通帳の表紙については無くても特段の指摘は受けないと思われますが、用意しておけば万全かと思います。

ポイント

コピーを取るべき通帳のページは全部で3ページ。A4用紙の中央に印字するなど見切れたりかすれたりしないよう鮮明にコピーしよう!

 

ネットバンクの口座を利用する場合に用意すべき書類

最近、少しずつではあるものの増えつつあるネットバンクを利用した資本金の入金作業。

言うまでも無くネットバンクを利用した方法においても問題ありません

ただ、役所サイドとしては一般的な通帳のコピーを添付した場合と比較しその手続件数が少ないこともあってか、管轄により提出を求める書面等に若干の差があるようです。

しかし、私たちがこれまでに経験した内容を総合的に判断するに、

  1. 銀行名、店名、口座種別、口座番号、口座名義人が表示されているページ
  2. 入出金明細などが表示されているページ

を通帳のコピーに代わる書面として提出することで問題なく手続は完了しています。

心配な方は管轄する法務局に確認されるべきと考えますが、ネットバンクを利用した払い込み証明自体に問題が生じることは考えにくいでしょう。

ポイント

私たちの実績の上ではネットバンクを利用した資本金の払い込みも問題なし!口座名義人や入金されたことがわかる部分を印刷し添付しよう!

 

資本金を入金した通帳のコピーに関するその他のよくある質問

最後になりますが、資本金を通帳に入金する際の本当によくある質問が2つほどありますので、紹介しておきます。

是非、参考にしてみてください。

 

定款作成日以降であれば公証役場での認証前でも構わない

比較的多くいただく質問の一つに、公証役場における定款の認証を受けるタイミングがあります。

発起人の通帳に資本金を入金するタイミングが定款認証の後でないとダメか?といった質問ですが、これは定款認証の前後のどちらでも問題ありません。

あくまでも定款作成日以降の日付にて入金すれば良く、定款の認証を受ける日については影響を受けません。

ポイント

公証役場における定款の認証は資本金の入金を行う前後のどちらでも問題なし。定款作成日以降であることを意識して取り掛かろう!

 

入金した際の名義人の印字について

振込などを利用されたことがある方はご存知かと思いますが、振込を受けた側の通帳には振込をした方の名前などが印字されます。

これ故に、発起人から入金を受けた証明としてこの印字が無いと無効か否かの質問を多く受けますが、結論として全く気にする必要はありません。

そもそも預入を選択した際には名前等の印字はありませんし、あまり推奨はしないものの極端なことを言ってしまえば、全くの第三者の名前などが印字されていたとしても、これまでの解説にて記したルールに則っているものであれば、設立手続において指摘を受けることはありません。

このページにおいて再三再四の記述をしているとおり、定款作成日以降に資本金の全額が入金されていることがわかるものであれば問題ないのです。

ポイント

入金がされた際に氏名などの印字は気にする必要なし。とにかく資本金の全額が入金された事実が重要。

 

税務署に変な疑義を持たれないためにもやはり発起人名の印字がベター

株式会社の設立手続を管轄する法務局について解説すれば、入金した際の氏名などの印字は一切気にする必要はありません。

しかし、実際に発起人の手元にあるお金を用いて出資されているのか、もしくはどこからか贈与を受けたお金を出資金に回しているのかなど、いわゆるお金の出所については税務行政においては極めて重要です。

このため、できることであれば印字される名前などは出資者とイコールであることが望ましいでしょう。

時折ある具体例を挙げれば、ご主人であるAさんが500万円を出資し会社を立ち上げる際に、ご自身名義の口座にまとまった金額が無く、ひとまず奥様であるBさんの口座から入金するようなことがあります。

私たちは税の専門家ではありませんので詳細を記載することはできませんが、このようなケースにおいては贈与を疑われるきっかけともなるようですから、つまらないことで探られないためにも多少の手間は惜しまないことが良いのではないでしょうか。

ポイント

贈与などを疑われないためにも発起人名義にて入金するか単に預入を選択することが無難でしょう。

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