以前の記事においてもご紹介をしておりますが、介護タクシー許可を受ける際に非常に重要となる、いわば鬼門でもある車庫の確保に関する内容となります。
私たちもこれまで自宅の車庫、近隣の月極駐車場、年契約駐車場、機械式駐車場、立体駐車場、ご親戚所有の敷地内駐車場など様々なパターンを経験し、これらの全てにて無事に許可を受けて参りました。
しかしこれらは事前調査と事前協議の賜物であると考えており、必ず許可を受けられるものではありません。
そこで今回は、これらの車庫の中でも「屋根のある車庫」を選択した際に審査にどのような影響が生じるのか。
また、許可を無事に受けるため、審査をスムーズに通すためにはどのような選択が妥当なのかについて解説してみたいと思います。
介護タクシー許可を受けるにあたり車庫に求められるもの
まずは介護タクシー許可を受ける際に求められる車庫の概要についておさらいします。
介護タクシー許可の審査においては以下の項目について確認が行われております。
- 使用する車両を格納した際に前後左右に各50cm以上のスペースがあるか
- 使用権原を有しているか
- 都市計画法や建築基準法、農地法などの各種法令への適合があるか
- 車庫の前面道路について車両制限令への抵触はないか
これらの一つにでも抵触する場合には残念ながら許可を受けることはできません。
その中でも今回ピックアップする内容としては「都市計画法や建築基準法、農地法などの各種法令への適合があるか」です。
屋根のある車庫は都市計画法や建築基準法の制限を受ける
車庫に限らず介護タクシー事業に用いる営業所も含め、その施設(建築物)は都市計画法や建築基準法などの各種法令に適合したものでなければなりません。
しかし実務上では、コスト面などを理由に屋根のない更地の車庫を利用するケースが多いため、規制にかかる建築物が存在せずその適合可否を問われることはありません。
従って、屋根のない車庫を選択した際にはこの調査は省略ができるのです。(車両制限令への抵触などその他の調査は必要となりますのでご注意ください。)
これに対し屋根のある車庫については全てが調査の対象であり、車庫の所在地や建築物の用途など様々な調査が必須となるのです。
安易に契約を進めたりすると許可を受けられなかったり、法令違反となることがありますので細心の注意を払いましょう。
市街化調整区域内については特に注意が必要
市街化調整区域という言葉をご存知でしょうか。
既にマイホームなどをお持ちの方で土地を購入した経験のある方はご存知かもしれません。
介護タクシー事業に用いる営業所や車庫については都市計画法などに適合したものでなければなりませんが、その中でも特に気を付けたいのがこの市街化調整区域です。
市街化調整区域内には原則として建物を建てることができません。
実際には一定のルールのもと、各種の許可等を受けることができれば建築することができる場合もありますが、介護タクシー事業に用いる営業所などについては「事務所」に該当し、市街化調整区域内においてはそもそもこの「事務所」を建築することができず結果として許可を受けることができません。
つまりは新たに介護タクシー事業に使用する営業所などの建物を建築しようにもこれはできませんし、既存の建物についてもそもそもが事務所としての建築ができないエリアのため、他の用途をもって建築されているでしょうから、これらの理由から使用することはできません。(市街化調整区域に指定される前から存在する事務所については使用できる場合あり)
屋根のある車庫においてはこの市街化調整区域(都市計画法)の制限をまともに受けるため、使用可否を含め徹底した調査が必須となりますので気をつけましょう。
ご自宅などのカーポートも同様の制限を受けます
ご自宅等にカーポートが設置されていてこれを使用したいと考える場合にも、都市計画法の制限を受けることになりますので注意しましょう。
繰り返しになりますが使用可否も含めて徹底した調査が必須な内容となりますから、使用を検討されている方はくれぐれもご注意ください。