ここ数年、製造業や販売業の会社の方より建設業許可取得のご依頼をいただく機会が増えました。
一見、建設業とは何ら関係の無さそうな業種であり、実際に許可を取られた皆様も「まさか建設業許可を取得することになろうとは」と感じられているようです。
建設業法に詳しい方であれば何ら違和感のないことではあるのですが、製造した又は販売した製品を自社で搬入し設置を行う場合にはこれが建設工事に該当することがあり、結果として建設業許可を受けなくてはならない場合があります。
今回は、製造業者や販売業者の方々において、どのような場合に建設業許可を検討しなくてはならないのかについて解説します。
製造業者や販売業者が建設業許可を受けなくてはならない場合
建設業許可はその業界にいる方に限らず比較的、名の知られた許可であると認識しています。
しかし、名前は知られていてもどのような場合に許可が必要なのかといった具体的な内容までをご存知の方は少ないことでしょう。
この建設業許可ですが、実は、建設業を営む際に絶対的に必要となる許可ではありません。
運送業や不動産業などのように営業するのであれば必ず許可(不動産業は免許)を取らなければならない業種とは異なるのです。
それではどのような場合において許可を受ける必要があるかと言えば、500万円以上の建設工事を請負う場合に必須とされており、消費税や材料費などの全てを含めた総額にて判断をしています。
例え、実質的な工事部分が10万円程度であっても、これに用いる材料等を含めた総額が500万円を上回るのであれば許可を受けなくてはならないと言うことです。
従って、機械などを製造する製造業者や、これらを販売する商社などが販売のみならず現地での設置工事をまとめて請負うとなれば、工場などにて使用する機械等の販売価格は最低でも数百万円はするものが多いでしょうから、実際のところその多くが許可の対象となるのではないでしょうか。
尚、実際の工事を別の会社(下請)が施工する場合においても、販売と合わせて契約を行うのであれば元請業者として建設業許可を受けなくてはなりませんので気をつけましょう。
なぜ急に建設業許可を意識するようになったのか
機械等の製造業者や販売業者が工場などでの設置工事をまとめて請負う形態は最近に始まったことではないようですが、当事者の誰もがまさか建設工事に該当するとも考えておらず、建設業許可が必要であるなど考えもしなかったようです。
大手を中心としたコンプライアンスへの取り組みの中で、自社はもちろんのこと取引先が法令を遵守しているのかといった点も随分と調査が進んだようです。
そして発注者より指摘を受け、早急な対応を求め我々のもとへのご依頼が増えているようです。
建設業許可を持っていない建設業者が500万円以上となる工事を請負った場合、請け負った建設業者は建設業法違反としてペナルティーを受けることとなりますが、建設業者同士の元請、下請の関係においては発注した側もペナルティーを受けることとなる非常に厳しい内容です。
お客様や関連する業者への迷惑を考えれば業界として建設業許可の取得を促進するのは当然の流れなのでしょう。