お電話での
ご依頼・ご相談

027-289-8199

平日9:00〜19:00 土日祝休み

ノウハウ・知識
ノウハウ・知識
ノウハウ・知識

2022.11.17

建設業許可

建設業許可の基礎知識

契約書を分割すれば500万円以上の工事を請負えるか?

建設業許可を取得する必要があるか否かを判断する際の基準として請負金額があります。

その判断基準として、

  • 請負金額が500万円以上の工事がある・・・建設業許可が必須
  • 請負金額が500万円未満の工事しかない・・・建設業許可は必須ではない

となっておりますが、契約を複数に分けて1件あたりの請負金額が500万円に満たないように締結している場合には、建設業法違反とはならないのでしょうか?

今回は、建設業許可において重要なこの請負金額の考え方について、一般的な運用上の取扱いを解説してみたいと思います。

 

請負契約書を複数に分けている場合には許可は不要なのか?

まず先に結論。

  • 契約書を分割しても総合的に見て同一の工事であれば、原則として全てを合算した請負金額にて許可要否を判定する。

従って、契約書を複数に分割したとしても実態として1つの工事であれば、全てを合算した結果500万円以上となる工事を建設業許可を受けていない業者が請負うことは違法行為に該当します。

また、後述しますが元請会社にも多大なる迷惑をかけることとなる行為であり、大きく信用を失うことにも繋がりかねない重罪です。

 

工事代金以外に請負金額に含むべき費用

請負金額は契約書を分割しても意味が無いことがわかりました。

では、請負金額には工事代金のほかどこまでの金額を含まなくてはならないのでしょうか?

建設業許可取得の要否を判断する上で、請負代金に含めるべき内容としては、

  • 消費税及び地方消費税
  • 工事に用いる材料費や材料を運搬するための運搬費など

となっており、特に注意が必要な事項として「工事に用いる材料費や材料を運搬するための運搬費など」については発注者より支給を受ける工事であったとしても、これらの金額を合算した請負金額にて判断する必要があることです。

材料が別支給だからといって建設業許可が不要とはなりませんので注意しましょう。

 

NGとなる請負契約に良くあるパターン

請負金額について誤った理解をされている方に多く見られるパターンというものがありますので、いくつか紹介します。

  • 材料支給で請負金額は工事費のみだから500万円を超えることはない
  • 専門工事毎に契約書を取り交わしているため500万円を超えることはない
  • 進捗に合わせて追加工事として契約を貰っているため500万円を超えることはない
  • 月ごとに契約書をもらっているため500万円を超えることはない

ちなみに、これらの全てが建設業許可を取得せずに請負うと違法です。

なかなか面白い発想のものもあるのですが、一つずつ解説します。

尚、明らかに1つの工事であるにもかかわらず、建設業法違反を逃れるためにわざと2つ以上の契約書に分割している業者の方をお見受けすることがありますが、これは問答無用のNG行為ですので今回は上記リストから除外しています。

 

材料支給で請負金額は工事費のみだから500万円を超えることはない

これは前述のとおりです。

発注者より材料が支給され、発注書には工事代金しか記されていない請負契約においても材料費などを含めた総額にて判断しなくてなりません。

チェック

請負契約書に材料費が計上されていない場合でも材料費を含めた総額にて判断する。

 

専門工事毎に契約書を取り交わしているため500万円を超えることはない

これも本当に良くある事例ですが、今回示した4件の中では一番、悪質性を感じるパターンです。

リフォーム工事など複数の建設工事が複合的に織り交じっている場合、どうしても工事全体の請負金額が跳ね上がります。

そこで浴室工事(管工事)、木棚造作工事(大工工事)、床面張替工事(内装仕上工事)、照明設置工事(電気工事)などいくつかの工事に分類して契約を取り交わしているパターンです。

しかし、許可業種に跨る複合的な工事であっても1つの工事であり、契約書を分割したところで意味はありません。

チェック

工事内容別に契約書を分けても実際の工事が一体的であれば1つの工事として判断する。

 

進捗に合わせて追加工事として契約を貰っているため500万円を超えることはない

これは実際にそうなのかもしれませんし、悪意をもってやられているのかの判断も難しいのですが、進捗状況にあわせて追加、追加、追加と工事を請負われているケースです。

追加工事に関しては結局のところ、1つの工事に対して追加をしているだけなので当然に合算での判断が必要です。

ただ、結果として建設業許可の有無を問われるケースもあり注意が必要です。

具体例として、当初の請負契約時点では450万円の工事であった場合、この時点では建設業許可は不要です。

しかし、後に60万円の追加工事が発生した場合、合算すると510万円となり許可が必要な工事となりますが、どのように判断するのでしょうか?

この場合、60万円の追加工事を請負う場合には建設業許可を受けている必要があります

チェック

追加工事は合算して計算するため、追加工事を請負うと合計500万円を超えてしまう場合には追加工事を請負うことはできない。

 

月ごとに契約書をもらっているため500万円を超えることはない

個人事業や一人親方の方に多いように感じますが、要は毎月出来高にて支払いを受けているようなケースが多いでしょうか。

工事の総額を工期に係る月数で割って月毎の契約を取り交わしているなんてこともあるようですが、これも1つの工事であれば合算して考えます。

もっとも資金繰りなどの関係にて月毎に出来高にて支払いを受けること自体は問題ありません。

チェック

月ごとに出来高などにて支払いを受ける契約であっても1つの工事であれば総額にて判断する。

 

無許可による請負は元請会社に大きな迷惑をかけることになる

冒頭に少しだけ触れましたが、無許可にて500万円以上の工事を請負った場合、請負った会社が罰則を受けることは当然ですが、無許可業者に発注した元請会社も同様に罰則を受けます

しかも懲役刑まで用意されているとても重い罪です。

こうなればこれまでの信用は全て水の泡であり、自社だけではなく他社にとっても大きなダメージを受けることになります。

無許可請負はリスクの塊。

建設業許可を早々に取得できるよう準備していきましょう。

 

建設業許可取得サポート

お問い合わせはこちら