このページに辿りつかれたということは産廃許可を取りたいのに決算状況に不安を抱えている会社の方でしょうか。
事実、産業廃棄物収集運搬業許可の要件、要は審査項目には申請日から直近3期分の決算内容が確認され、その内容如何では許可を受けることができない場合があります。
赤字が続いていたり直近の決算において債務超過となっている場合には許可を出さないことが原則となっており、不安を抱えられるのも無理はないでしょう。
しかし、実務上の現実的な問題において、私たちが受任した同様の状況に悩まれている会社様の案件は全て許可が出ています。
今回は赤字や債務超過に悩まれている会社様に向けて、実務的な部分や今後、取り組むべき内容について解説したいと思います。
産廃収集運搬業許可の審査においては決算状況は極めて重要
産業廃棄物収集運搬業許可はその根拠となる法律「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称「廃掃法」)」にその詳細が定められており、前述のとおり、財務状況など一定の条件を満たせない場合には「許可をしてはならない」と強く謳っております。
順を追って見ていきましょう。
(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物(中略)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。(以下本項略)
(中略)
5 都道府県知事は、第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
引用 ”e-GOV法律検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」”
廃掃法の第14条第5項第1号において「環境省令にて定める基準に適合するもの」であることが示されています。
そしてその環境省令には以下のことが書かれています。
(産業廃棄物収集運搬業の許可の基準)
第十条 法第十四条第五項第一号(略)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
(中略)
二 申請者の能力に係る基準
イ (略)
ロ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
引用 ”e-GOV法律検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」”
そしてこの「経理的基礎」を有するか否かは各都道府県毎にて判断が分かれており、独自の判断によるものパブリックコメントなどを利用してガイドラインを設けているものなど様々です。
これ故に、都道府県毎にて経理的基礎を判断するための添付資料が異なっており、実務上、許可取得のハードルの差にもなっております。
実務上の処理や求められる提出書類について
ここまでを読み進めると非常に不安を煽り建てているような内容となっているかもしれませんが、現実的な問題、冒頭にも記載した通り、連続赤字や債務超過などに悩まれているケースにおいても少なからず私たちにて受任した案件は全て許可となっております。
これは私たちがすごいとか全くそのようなことではなく、許可申請時点から今後5年程度の収支計画を提出し、この計画に整合性が取れれば「経営的基礎があり」と判断され許可を受けることができるのです。
これまでのケースを言えば赤字や債務超過とは言えすぐに倒産に直結するような切羽詰まった状況であることは稀であり、適切な体制を整えるべく事業計画書面を整えることができれば問題なく許可となっていることが現状です。
ただし、都道府県によっては一定の財務状況を下回っているケースにおいては企業診断のプロである中小企業診断士の経営診断書を求められる場合があり、基本的には改善のアドバイス等を含め数年後には債務超過を改善できる計画を立て書類を整えてくれるのですが、本当に「ヤバイ」状態である場合には診断書の作成を断られてしまったり、改善が困難であると結論付けた診断書となることもあるようです。
こうなると本当に諦めかもしれません。
次回の更新に向けて
これまでの解説のとおり、産業廃棄物収集運搬業許可を維持するためには財務状況が影響することになります。
不法投棄などの問題から、この財務要件については今後も厳しく審査されることとなるでしょう。
今後も継続的に産業廃棄物処理に関するビジネスを運営して行くのであれば適切な収益を上げ、利益が生まれる仕組みづくりに努めていただきたいものです。
売上を上げて良い循環を作るのは簡単ではないかもしれませんが、今後、ビジネスを継続していくためには目標とすべき指標と考えます。
また、近年では、資本金の最低額の撤廃などの影響か、本来積むべき資本金を出資せず役員借入などにて運営している会社も目立ちますし、節税のためだけの赤字決算なんてものも見受けることがあります。
これらは会社としてあるべき形にするだけで債務超過を解消できるケースであると考えます。
その一度の債務超過が本当に命取りになることもあるかもしれませんので。
リスクが大きい時ほど専門家である行政書士に任せるのが得策!
決算状況が良くない不確実な状況においてご自身に許可申請をするのは不安もありますし、経験が無い分リスクも伴うことでしょう。
そんな時こそ専門家(行政書士)を活用していただきたいなと思います。
冒頭にも記載した通り、債務超過に陥っている会社の許可申請にも多く対応をさせていただいておりますが、これまで不許可(却下)案件はありません。
許可を取りたいけど不安だなと感じたら、いつでもお気軽にご連絡くださいね。