訪問介護事業所や障害者居宅サービス事業所に通院等乗降介助のサービスを追加したい。
そんなご相談をいただく機会が年々増えています。
しかし、介護事業に運送事業と全く異なる管轄の手続を結びつけるためには適切な知識と手続が必須であることは言うまでもありません。
そこで今回は、非常に取っ付きにくいとされる通院等乗降介助の導入を目指した介護タクシー許可の取得について解説します。
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本気で介護タクシー許可の取得や開業後の継続的な維持を考えるのであれば、介護タクシー許可申請の実績や経験が豊富な私たちにおまかせください。
通院等乗降介助を始めるには
既に概要を調べられている方も多いとは思いますが、基本的な部分からおさらいしていきます。
介護事業や障害者事業において下記の訪問系と呼ばれるサービスを提供する事業者は、介護タクシー許可を受けることで通院等乗降介助のサービスを算定することが可能となります。
- 介護保険法に基づく訪問介護事業
- 障害者総合支援法に基づく障害者居宅サービス事業(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護)
尚、今回は「1」の介護保険法に基づく訪問介護事業を例として解説していきますが、障害者居宅サービス事業においても内容としては概ね同様となります。
訪問介護事業所と一体的な介護タクシー許可の取得
訪問介護事業所においては介護タクシー許可を受けることで通院等乗降介助の算定が開始できるわけですが、単に許可を受ければ良いわけではなく許可の受け方についていくつかの注意点が存在します。
- 訪問介護事業所の事務所と同じ場所を営業所として介護タクシー許可を受ける
- 訪問介護事業所の相談室と介護タクシー営業所の休憩仮眠室は別々に設定する
これらは通院等乗降介助の算定を目的とした介護タクシー許可の取得にあたり基本的なこととなりますので抑えておきましょう。
訪問介護と介護タクシーの営業所は同じ場所
根本的なルールとしてそもそも訪問介護事業者として通院等乗降介助の算定を受けたいわけですから、訪問介護事業所と同一の場所にて介護タクシーを運営していなければなりません。
仮に別の場所で介護タクシーを運営しているとなれば、その訪問介護事業所にて提供するサービスとは到底言えないでしょう。
従って、訪問介護と介護タクシーの営業所は同一の場所である必要があり、これが通院等乗降介助の算定要件です。
また、後述しますが介護タクシーにおける介護運賃の認可を受ける際の要件ともなりますのでくれぐれも気をつけましょう。
尚、解説するまでもありませんが訪問介護を運営する法人と介護タクシーを運営する法人は同一法人でなければなりません。
訪問介護と介護タクシーの営業所は必ず同じ場所に設定しよう。
訪問介護事業所の相談室と介護タクシー営業所の休憩仮眠室は別々に設定
非常にマニアックな内容とはなりますが、後々の問題を回避するためには必須の項目です。
訪問介護事業における相談室と介護タクシー事業における休憩仮眠室(正式には休憩、仮眠又は睡眠のための施設)はそれぞれ他事業との区画共有を認めておりません。
強いて挙げるのであれば訪問介護事業における相談室については、同一建物にて他の福祉事業(通所介護や有料老人ホームなど)を運営する場合に限り、福祉事業の範囲にて共有を認めているケースは多いようです。
しかし、介護事業と介護タクシー(運送事業)は全く別の省庁が管轄する事業ですから、それぞれの担当窓口がお互いの手続や法令について理解し管理しているとは到底考えられません。
従って、訪問介護の相談室と介護タクシーの休憩仮眠室は別々に確保するようにしましょう。
特に運送事業における休憩仮眠室は他の事業との共有を一切認めておりませんので、注意してください。
訪問介護の相談室と介護タクシーの休憩仮眠室は別々の部屋などを設定する。
訪問介護事業所への通院等乗降介助の算定手続
無事に介護タクシー許可を受けても自動的に通院等乗降介助が導入されるわけではありません。
訪問介護事業所における各種変更手続を実施し、算定に関する届出を提出しなければなりません。
しかし、私たちの経験則では訪問介護事業を所管する窓口においても通院等乗降介助に関する手続については不慣れであり、ミスリードを受けることが非常に多い印象です。
確実に導入をしたいのであれば知識のある専門家にご相談の上、手続を進めることが望ましいと考えております。
通院等乗降介助の算定を開始する手続を単純な変更届と考えると痛い目に遭うことも。できれば専門家に任せることが望ましい。
介護運賃を取得しよう!
介護タクシーにおいては通常「ケア運賃」と呼ばれる運賃を設定し収受することとなりますが、訪問介護事業者などは特例的に「介護運賃」という別建ての運賃を設定することが可能です。
介護運賃の何よりの利点と言えば、概ね自由に運賃を設定し認可を受けることができるところです。
事業用車両(緑ナンバーや黒ナンバー)のみで運行を行う場合にはケア運賃のみ認可を受けることでも差し支えありませんが、利便性も高く利用者の負担も少ない介護運賃は訪問介護事業者としての特権でもありますから、認可を受けておくべきでしょう。
尚、後述するぶらさがり許可を取得しヘルパーのマイカーなどにて運送行為を行う場合には介護運賃の認可は必須です。
ぶらさがり許可も上手に活用する
訪問介護事業所において通院等乗降介助を導入した場合、ぶらさがり許可を受けることで会社の自家用車やヘルパーの所有する自家用車を用いた運送事業を行うことができます。
しかし、運送事業とは言っても通常通りのタクシー行為が許されるわけではなく、通院等乗降介助など訪問介護サービスと一体的となるサービス提供の際に運送行為が許される許可となります。
ちなみに、このぶらさがり許可は自家用車が使用できるだけではなく、
- 第二種普通自動車運転免許(中型や大型も勿論OK)
- 道路運送法施行規則第五十一条の十六第一項第一号に規定されている国土交通大臣が認定する各種講習
と二種免許以外にて運転者となる手段も用意されており、比較的導入しやすいサービスでもあります。
興味のある方は以下の関連記事もご覧いただき、導入をご検討ください。
運送事業者としての管理は徹底しよう
ここまで訪問介護事業所等への通院等乗降介助の導入について解説して参りましたが、介護タクシーはれっきとした運送事業です。
主たる業務が訪問介護事業所であることから介護タクシー事業は付随業務又は訪問介護事業の一部と勘違いしがちですが、これは大きな誤りです。
日々の点呼やアルコールチェック、車両の日常点検など運送事業における基本的な管理から、輸送実績などの報告義務までしっかりと理解しこなさなくてはなりません。
通院等乗降介助のサービスを導入するということは訪問介護事業における管理項目だけではなく、運送事業者としての管理項目が増えることも理解しておきましょう。