エアコンが壊れた!エアコンを買い替えたい!
こんな時、大抵の方は電気屋さんに駆け込むでしょう。
もっとも最近ではネットショッピングが主流ですからネットで気に入ったエアコンの購入ボタンをクリックでしょうか。
そうは言っても、店舗でもネットでも購入したエアコンを自分で設置する人はごく少数でしょうから、実際にエアコンの取り付けをお願いするのはやはり電気屋さんです。
そう、一般消費者の認識ではエアコンの設置工事をお願いするのは電気屋さんで「電気工事」というイメージが強いです。
しかし、建設業許可における分類に関して言えばこの点は少々、異なります。
今回は、エアコン工事を主に取り扱う建設業者の方々が建設業許可における許可業種の選定について解説します。
★ 補足説明
自宅等であっても電気工事を行うには電気工事士の資格が必要です。従ってコンセントの増設などを伴いエアコンの設置は違法行為となるため注意が必要です。
エアコン工事は配管工事として処理することが一般的
「エアコン工事=電気工事」と連想される方は多くいらっしゃるでしょう。
我々も、建設業法を習得するまではそうだったように記憶しております。
しかし、エアコン工事が建設業許可29業種のうちどれに該当するのかを建設業許可を担当する窓口に投げかければ100%の確率で「管工事」と回答があるでしょう。
そう、請負金額が大きなエアコン工事を請負うために建設業許可の取得を目指すのであれば取得するべき許可業種は「電気工事業」ではなく「管工事業」となります。
エアコン工事に代表される空調設備工事は配管工事に分類され、建設業許可業種で言えば「管工事」に分類されるのです。
確かにコンセント設置などの電気工事を伴うことも少なくはないでしょうが、エアコン工事における主たる施工部分は配管工事です。
エアコン本体を入れ替えるだけの工事であれば、ほぼほぼ電気工事が生じることはないようです。
家電ということもあってか、エアコン設置工事は電気工事のイメージが拭えないのです。
エアコン設置をメインとする建設業者が受けるべき建設業許可業種
これまでの説明のとおり、エアコン工事は「管工事」に分類されますから、エアコン工事を主業務として運営している建設業者が取得すべき許可業種は「管工事業」です。
しかし、エアコン設置工事の場合には単に管工事業の許可を受ければ良しということでもありません。
一般的にエアコンを新規にて設置する際にはやはりコンセント増設などの電気工事が含まれますが、この工事は電気工事業法という法律により電気工事士でなければ施工してはいけないこととなっております。
従って、建設業法上の許可業種は管工事であったとしても、結局、施工すべき者は電気工事士である必要があるわけです。
そこで建設業許可を受けるのであれば「管工事業」と「電気工事業」の2業種を取得することが望ましいと考えられています。
管工事業の技術者要件を考える
管工事業にて建設業許可を受けるためには在籍する技術者が管工事施工管理技士などの資格を保有しているか、10年(120ヶ月)以上の実務経験を有している必要があります。
実務経験に関しては工業高校や工業大学などにて一定の学科を卒業している場合には、それぞれ5年(60ヶ月)、3年(36ヶ月)と期間の短縮が認められています。
自社にて請負った工事だけでは期間が不足する場合には、以前に勤務していた会社などから実務経験を証明してもらい経験期間を合算し申請しましょう。
尚、ここでいう経験は管工事業に分類される工事の経験を言いますので、エアコン設置工事に限った話ではありません。
エアコン設置の経験が全くない場合でも、以前の勤務先にて水道の引込工事や、浴室やキッチンのリフォーム工事などに従事していたといった場合にもこれらの経験は算入できることとなります。
電気工事業の技術者要件を考える
電気工事業は管工事業と異なり、単純な実務経験だけでは技術者要件を満たせず、必ず電気工事士などの資格を有する者の在籍が必須です。
しかしながら、エアコン工事を請負う会社においては同時にコンセント設置などを伴うことも多いため、概ね、電気工事業法に基づく電気工事業者登録をされていることが多いようです。
この電気工事業者登録をするためには第一種電気工事士又は3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士が在籍していることが必須となりますが、この要件は、正に建設業法上の「電気工事業」の許可を受けるための要件と同一であり、既に建設業許可における電気工事業の技術者要件も満たしていることとなりますから、通常は許可を受ける上での障壁とはなりません。
新たに独立されるなど全くの更の状態からのスタートの場合で保有資格が第二種電気工事士の場合には、従前、勤務していた会社などにて3年以上の実務経験を証明してもらう必要がありますので、下準備をしておきましょう。
管工事業の許可要件しか満たせない場合
これから新たに独立される会社などに多いケースですが、エアコン設置のための据付や配管工事には従事していたものの、電気工事士の資格を保有しておらず電気工事が不要なもののみに従事されていたケースなどが考えられます。
また、エアコン設置の経験は全く無いが、浴室やキッチンなど水回りのリフォーム工事の経験がある場合なども同様に該当するでしょう。
しかし、これから独立し工事を請負うに当たって、電気工事が不要な注文ばかりが入ることは考えられず、電気工事業者登録は必須となります。
そこで、管工事業の許可要件しか満たせない場合には、まずは自社にて電気工事士を確保しましょう。
エアコン工事自体は500万円未満のものであれば許可等は不要ですが、コンセントなどの電気工事は金額に関係なく登録や許可が必要です。
エアコン設置工事を生業とするのであれば電気工事士の資格取得、資格保有者の確保が優先です。
電気工事業の許可要件しか満たせない場合
こちらは既にエアコン設置工事を生業とされている会社にて多い内容です。
既に電気工事業者登録はしているもののエアコン設置業者としての年数が浅く管工事業の許可要件を満たせない場合などが該当するでしょう。
この場合には、ひたすら経験年数を積み上げるか、管工事施工管理技士などの資格取得を目指されてはいかがでしょうか。
もっとも、最近では大手家電販売店などとの契約を締結するために許可取得を希望されている会社の方が一定数いらっしゃいますが、この場合、工事金額の大小に関わらず建設業許可を受けていることが請負契約の条件となっていることが多いようで許可取得が急務となります。
急ぎにて要件を満たす必要があるのであれば、これらの経験や資格を保有しているスタッフを常勤かつ専従であることを条件に雇い入れる方法もあります。
ただ、このスタッフが退職してしまうとまた逆戻りですから、この点も留意し検討する必要があります。
エアコン工事でも管工事ではなく電気工事として考えるケース
言うまでもありませんがエアコンに関する工事であってもその主たる目的がコンセント工事や電気の引込工事などであれば、これは電気工事業に該当します。
大型建物や商業施設、学校などの建設工事の際に見られるようですが、建物内外の引込から配線までの工事は全て電気工事業者が施工し、エアコン設置業者については単にエアコンをはめ込むだけの作業を請負うことがあるようです。
この場合、前者である建物内外からの引込や配線の工事はエアコンを設置することが目的ではありますが、当然に電気工事業に分類される工事です。
また、公共工事などにおいて電気工事としてエアコンなどの空調工事を発注されることがあるようです。
これは工事の内容から総合的に判断してのことのようですので、この場合も管工事ではなく電気工事としてカウントし処理しましょう。
実務経験にて許可を受けたい場合には記載内容には気をつけよう
管工事業や電気工事業を取得する際の実務経験の証明方法は非常に重要です。
なかなか一般の方が正しく記載することは困難なものであり、ちょっとした勘違いから許可が取れないなどという事態にも陥りかねません。
実際に窓口にて指摘を受けてお越しになられた方や、経験薄の行政書士に失敗されてお越しになった方など、本当に間違えやすい事項が多い内容でもあります。
一度、誤った内容にて提出してしまうとこれを覆すのは簡単ではなく、結果として許可取得が遠のいたりすることもあるわけで、本当に慎重に作成すべき書類です。
確実に許可を取得するためにも、建設業許可に精通した私たちにお任せいただきたいものです。